相続対策
相続対策

相続税対策のポイント


「相続税や贈与税の節税対策は少しでも早めに、という税理士の広告はよくみかけるけど、何から始めて良いのかさっぱり…。自分が死んだ後の準備なんてなんだか気が進まないし…」

一定額以上の財産を所有している人が亡くなった場合、相続人となる遺族は財産を相続した割合に応じて相続税を負担しなくてはなりません。

注意点としては、相続税の納付は期限(相続が発生してから10ヶ月)までに現金で収めないといけない点です。

もし相続の対象となる財産の多くが土地や建物などの不動産である場合には、相続税を現金で納付しなくてはならないために先祖代々の土地を売却しなくてはならない…というようなケースも少なくないのです。

ここでは相続税対策として何から始めていいのかよくわらかない…という方向けに、節税対策の基本的な考え方について解説させていただきます。

  • Point.1

    まずは相続税計算の基本的な仕組みを知っておこう

  • Point.2

    特に節税効果が高い2つの方法を知っておこう

  • Point.3

    生前贈与によって課税対象となる財産を分配しておく

  • Point.4

    不動産への転化を検討しよう

  • Point.5

    生命保険に加入しよう

  • Point.6

    相続対策は二次相続まで考慮して準備しよう

  • Point.7

    遺言を残そう

POINT.1 まずは相続税計算の基本的な仕組みを知っておこう

まずは相続税の基本的な計算方法を理解しておきましょう。

相続税は以下の計算式によって計算します。

【(相続したプラスの財産−マイナスの財産)− 基礎控除額 】×税率−控除額

相続は借金などのマイナスの財産についても行われますから、例えば住宅ローンの残っている住宅を相続したというような場合には、住宅の評価額から住宅ローン残高を差し引きした金額が遺産額ということになります。

上の計算式で「基礎控除額」についてはH27年以降は改正があり「3000万円+600万円×法定相続人数」で計算する事になります。(以前よりも課税対象となる人は多くなっています)

POINT.2 特に節税効果が高い2つの方法を知っておこう

相続税の計算を行うときには、利用できる節税方法をフル活用して少しでも相続税の負担が小さくなるようにしなくてはなりません。

実際に相続税の計算と申告納付を行う際には税理士などの専門家に相談するのが適切ですが、ここでは代表的な2つの節税対策小規模宅地の特例と、相続税の配偶者控除について大まかな内容を理解しておきましょう。

小規模宅地の特例

小規模宅地の特例

小規模宅地の特例は、相続財産に宅地(住宅を建てるために使っている土地)が含まれている場合に、その土地の相続財産としての評価額を最大80%減額(土地を住宅として使っているか、賃貸アパートなどのために使っているかによって上下します)してもらえる方法です。

相続財産の評価額が下がれば下がるほど、相続税の負担も小さくなりますから、遺産の多くが宅地であるというような場合にはこの方法を使うことで相続税の金額を大幅に小さくできる可能性があります。

相続税の配偶者控除

相続税の配偶者控除

配偶者が相続人となる場合には、法律上決まっている割合の範囲内(法定相続分といいます)でその配偶者が相続財産を相続する場合には、相続税がかかりません。

また、遺言書等によって法定相続分よりも多い金額の財産を相続する場合であっても、最大1億6000万円までの相続財産であれば相続税は非課税となります。

POINT.3 生前贈与によって課税対象となる相続財産を分配しておく

相続税は亡くなった時点での相続財産の評価額合計に対して課税されます。

亡くなった人が所有していた相続財産の金額が大きければ大きいほど相続税の負担も大きくなるということですから、できる限りこの相続財産の合計額を小さくしておくことが節税対策の基本となります。

具体的には、被相続人となる人の生前に家族等に対して財産を分け与えておくのが有効です(これを生前贈与といいます)

ただし、国側も相続税の取り分が少なくならないようにするために、生前に行われた贈与に関しては贈与税という形で課税する仕組みを設けています。

もっとも、国は、財産は1人の人がまとまった形で所有しているよりも、多くの人に行き渡るように所有されている方が望ましいと考えているため、生前贈与を活発に行ってもらうために以下のような特例措置を設けています。

POINT.4 不動産への転化を検討しよう

相続が見込まれる財産を現金のままで持っておくと当然その金額で税務上も評価されます。

しかし、現金がある人がそれを不動産に換えることによって、資産価値自体はそれほど落とすことなく相続税課税にあたっての評価額を下げることができるのです。

たとえば、今まで「自用地(自分で使う土地)」にしていた土地にアパートを建てると「貸家建付地」となりますので借地権割合などに応じて評価が下がります。

そして建築費として現金を使ってアパートを建てると相続税の計算において家屋は建築費の6割として評価されますので、1億円だったものが6000万円にまで圧縮されるわけです。

もし、銀行などのローンを組んで建てた場合は、借入金を相続財産から控除できるので、現金を支出した場合と同様の効果があるのです。

POINT.5 生命保険に加入しよう

被相続人が相続人を受取人にした生命保険に加入することは、節税+納税資金の準備としても効果的です。

「500万円×法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)の数」までは相続税の課税財産の計算において「非課税」という扱いになっています。

相続人が妻と子ども2人だった場合

相続人が妻と子ども2人だった場

右記のように相続人が3人いる場合には、生命保険の非課税枠は500万円×3人=1500万円となります。

生命保険を利用した節税は上記の不動産建設などよりも手軽にできる方法ですので、ぜひ有効に利用したいものです。

また、もし不動産を誰かに相続させると兄弟の間でのバランスが悪くなる場合においても生命保険は効果的です。

取り分が少なくなってしまう相続人については死亡保険金を受け取らせることで不公平感をなくし、相続争いを避けるという使い方もできるのです。

各節税方法について概要はこのようになっていますが、それぞれの家庭の財産構成によって効果的な節税方法は異なります。

中には、時間のかかる相続税対策もあるため、早めの時期から税理士と入念に打合せをすることが大切です。

POINT.6 相続対策は二次相続まで考慮して準備しよう

夫、妻ともに財産を所有している場合、夫が亡くなった後にすぐ妻が亡くなる…というような形で相次いで相続が生じる可能性があります。(この2回目の相続のことを「二次相続」と呼びます)

一次相続と二次相続とは
一次相続
一次相続

被相続人が配偶者と子どもを残して亡くなった場合。配偶者に財産の大半を相続すれば、子どもに掛かる相続税の負担は小さくなる。

二次相続
二次相続

すでに配偶者を亡くしている被相続人が子どもを残して亡くなった場合。
子どもだけに相続される為、相続税の負担が大きくなる。

この場合、この夫婦の子供などの遺族は、1回目と2回目のそれぞれの相続で相続税を負担しなくてはならない可能性がありますから、相続対策は二次相続までを含めたトータルで準備することが大切になります。

上でも解説させていただいたように、配偶者の人は相続時に配偶者控除という形で大幅に相続税の負担額を小さくすることができますから、1回目の相続で亡くなった方がいくら財産を相続するかを調整することにより、トータルで考えた場合の相続税の負担額は小さくできる可能性があります。

POINT.7 遺言を残そう

遺言書を残す意味は1つではありません。

もちろん、相続人の間での紛争を防止することが最大の効果といえますが、税務的な面でもとても意味があることなのです。

もし、遺言書がない場合は相続人の間で遺産分割協議をして相続財産の配分を決めなければなりませんが、この手続きに非常に 時間がかかることがあります。

ただ、相続税の申告期限は相続開始を知った日の翌日から10カ月であり、もしそこまでに遺産分割協議が終わっていないと とりあえず法定相続分(民法で定められた相続分)で相続したと仮定して相続税申告をすることになります。

この場合では、「配偶者の税額軽減」「小規模宅地等の特例」といった相続税の負担を大幅に軽減する特例が使えないことになってしまいます。

被相続人(亡くなった人)が生前に税理士とよく打ち合わせをして、こういった特例の利用や二次相続(配偶者のどちらか後に亡くなった方の相続)まで考えた上で相続財産を配分した遺言書を書いておけば、相続人の負担を大幅に軽くすることができるのです。

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